償いと試練編①

 この記録は、ある者にとっては薬であり、ある者にとっては毒となる。

 

○ 誕生前

 かつて、彼の自我が地上で肉体を持っていたころ、彼の自我は、御父に対して大いに罪深いものでありました。

 彼は、未熟故にそのことに気づきませんでしたが、何度か肉体が滅ぶといった、いわゆる死を経験した後になって、ようやく自身が犯した罪の深さに気がつきました。

 御父の前においては、罪人こそ、教え導かれなければなりません。

 そのため、御父の教えに忠実に生き、その義務を全うする高き気品ある者達のなかに彼を置き、彼がいかに進歩が遅れている者であるかを明らかにしました。

 同時に、彼がいかに霊的に傲慢な幼稚園児のごとき存在であるかを周囲に見せつけたのです。

 彼がこれまで犯した過ちを償うためには、次の過程を経なければなりません。

 すなわち、

 

  1. 苦くかつ辛い体験を通して理解すること。
  2. 罪を必要以上に重ねないために、何よりもまず愛と慈悲こそ報復的処罰に勝る叡智であることを理解すること。

 

 彼はとても悔やみました。

 しかし、真に理解するにはそれだけでは足りません。

 知識は得た後に体験しなければ理解できないからです。

 すなわち、真に理解するために彼は、彼が人を苦しめた方法と同じ方法で苦しむ必要があったのです。

 その苦しみは、彼の自我の成長に必要不可欠なものだからです。

 進化の恩恵は、格闘と葛藤の末でなくしては決して得られません。

 そのことに、彼は彼の自我が肉体を離れたときにようやく悟ったのです。