償いと試練編⑥

 彼が地上で成長することとなった木は、悪い木でした。

 悪い木からは良い実は決してなりません。

 このため、生前に成長としての地上生活を願望した彼の霊ですが、肉体をまとった初期から、悪い木の影響を多分に受けることとなりました。

 

 彼の地上の父(以下、A)は、地上で安逸をむさぼる者です。

 その安逸は周囲の者達の苦しみの上に成り立つものであり、Aは自分の安逸を人の幸福に優先したので、その結果周囲の者はAから遠ざかっていきました。Aは自身の肉親である兄弟姉妹を遠ざけ、親しき者を遠ざけ、やがては自分の母を、また、彼の女子を遠ざけ、このことはAを補佐し援助する者も遠ざけることになったのです。

 しかし、Aの妻とその男子を遠ざけることは、彼の安逸を損なうものであったので、Aは彼らを近くに置きました。

 Aの安逸が妨げられようとするとき、実はその出来事こそが、Aの未熟な魂が進化する上で必要不可欠な薬であり、栄養剤であったのですが、それらと正面から向き合い、葛藤し、対処することはありませんでした。かわりに、Aは酒によってその葛藤から逃れようとしたのです。

 また、Aは無意識に親しき者、すなわち低き自我の者達に救済を求め、そして、低き自我の者達はAを救おうとしてその声に応えました。Aの耳に届き、Aが聞き入れるのはこれら低き自我の者たちの声であったので、Aを援助する高き者たちは、あえてそのままにしました。なぜなら、Aの自由意志はどのようなものであれ、尊重されなければならないからです。

 その結果、Aの幼い女子、男子のふたりはおおいに苦しめられることになるのです。