償いと試練編㉘

 次に、怒ることについてはこうあります。

 御父は7つの徳を設けられ、人の子らの成長のために彼らへ選択と自由を与え、その7つを選択するかどうか試されました。

 この7つの徳を選んだ人の子には栄光を約束し、選ばなかった子には苦しみが与えられるよう地上を造られました。

 7つの徳を選ばなかった子は、この7つの徳に相反する悪癖を選ぶこととなります。

 この仕組みに、御父の横に座しながら反対する者がいました。

 彼は、人の子に選択を与えず、行動をすべて管理すれば苦しみも生じないと考えたのです。

 人が機械のように管理され、自由意志がなくすべて一定の行動水準が与えられるものならば、たしかに苦しみは生じませんが、同時に霊の向上進化もあり得ません。霊の進化とは、神に少しでも近づくことなので、霊の進化がなければ、人の子は神に近づくことはおろか、御父に近づくことすらも危ぶまれます。

 彼は御父の横に座していながら、御父の横に座しているからこそ、人の子が自分以上に御父に近づくことを嫌ったのです。

 その結果、彼は御父の横の座を追い出され、惨めになりました。

 彼は、神に愛される人の子を羨望し、人の子が自分と同じように惨めになることを喜びとしました。

 そこで、彼は7つの悪癖のひとつである憤怒によって人の子を惨めにさせようとしました。彼は人の子を怒らせることで、その子を惨めにさせようと試みるのです。

 時代や地域によってその名は変わりますが、彼の名はサタンとして広く知られています。かつて御父の横で栄光を飾った者です。

 これまでの人類の歴史において、御父と人間が取り交わした旧い契約を取りまとめた書がありますが、これには御父へ贈り物を捧げたカインとアベルについて、こうあります。

 御父は仰いました。「カインよ。あなたは、なぜそれほど怒るのか。」

 カインは言いました。「それは、あなたがわたしの贈り物を断り、弟であるアベルの贈り物を喜んだからです。」

 御父は仰いました。「あなたの贈り物が、あなたの真心からのものであるならば、私は受け取ります。しかし、そうではありません。あなたの贈り物があなたの真心によるものであれば、あなたは怒らないでしょう。あなたの贈り物があなたの高慢によってできているから、実際にあなたは怒るのです。私は、高慢によってできた贈り物は要りません。」