崩壊と創造編③

 新しいものが生まれるためには、時としてこれまでのものの破壊を必要とします。

 古いものが破壊されるとき、そこには痛みを伴います。

 

 地中の種子は地面に押さえつけられていますが、それでも芽を出します。

 そのとき、雨を必要とします。しかし、雨は時として種子さえも洗い流します。

 

 そのとき、そこにいる者にはそれ以上のことは分かりません。見えもしませんし聞こえもしません。ただただ絶望が支配するのみです。

 

 しかし、それらの破壊や雨、絶望が必要な課程であったならばどうでしょうか。

 彼の脳からは希望が消え去りました。同時にどこか心の奥底で、これは必要な経験だ、と響きます。その声は風前の灯火でした。焼け野原の瓦礫の中から聞こえる産声でした。消えそうで消えかけた、しかし、確固たる存在として確かにそこにある何かでした。

 

 混乱する彼の脳裏に、雑音混じりの、壊れかけたラジオから聞こえる不明瞭な外国語の音楽のように次の言葉が聞こえます。

 

 ・・・・明日のことを心配するな。明日は明日が面倒を見てくれる。・・・・今日は腹一杯食べてみなさい。・・・・