償いと試練編㉓

○ 結婚7年目9月

 彼はこれまでに得た記録のすべてをもって啓示のすべてと考え、それらはすべて自分だけのものであると高をくくり、いつしか彼の周囲の人間を見下し、真理を得たのは我だけと優越感に浸り、高ぶる者となり、その内面の傲慢さは目に余るものでありました。

 しかし、このときの彼は自身が傲慢な者であることを自覚できておらず、それが罪であることも理解できていませんでした。

 彼の向上進化を支援し補佐する者たちから見れば、このときの彼は、周囲よりもちょっとだけ性能が付加されたおもちゃを持って、周りの児童に自慢して回る幼児そのものでした。

 幼児はいずれ成長し自立しなければなりません。社会人になるには、まず小学校で常識を学習しなければならず、小学校の知識がない者が中学校へ進学したとしたら、困るのは本人です。

 こうしたことから、彼の補佐達は彼の傲慢さに対処すべく、学びの場として彼の職場を選択しました。そして、一人の女性が顧客として彼に出会うように取り計らったのです。彼らからすれば、すべての出来事が彼の霊の向上に資する体験として計画されているとは夢にも思いません。

 このとき、彼を補佐する者たちが利用した自然法則は次のようなものです。

 「人を苦しめた者は、同じ方法で苦しめられる。」

 すなわち、高慢な者は、やはり高慢な者に苦しめられるとする原則に従ったのです。

 その女性(以下、W)は、彼と同じように自尊心が高く、自分の意見を至上命題とし、その目的の達成こそが大義名分であると考え、その到達に向けた障害は悪であるとし、反対意見が生じた場合はその一切を聞き入れなかったのです。

 業務上の打ち合わせが進むにあたって進捗が怪しくなると、Wは徹底的に彼を罵倒し精神的に追い詰めました。

 このときWには、彼を破滅させんとする霊が援助していました。肝心なのは、彼の破滅を喜ぶ霊たちの接近を許したのは、紛れもない、彼を補佐する者たちだったということです。