神と仏編㉚ー8

 ネイビーシールズの仕事のひとつに敵艦への水中攻撃があります。訓練ではその技術を鍛えます。戦艦への攻撃任務では、敵地の外側からダイバーが二人組になって潜り、3キロを超える距離を潜水します。このときに使えるのは深度計と羅針盤のみです。

 泳いでいる間、水面下においても明かりが照らしてきます。そして海水面が自分の上にあるとわかるだけで安心できるものです。しかし、桟橋に繋がれた船に近づくにつれ明かりは薄れ始めます。鋼鉄の船が月明かりや周りの明かりを阻みます。

 その状況下で任務を遂行するには、船の下に潜り、船の一番深い部分を通っているキールを見つけなければいけません。しかし、キールというものは、目の前にある自分の手さえ見えず、船の機械音で何も聞こえず、方角を見失ってしまうような最も暗い場所にあります。シールズのメンバーは、一番の暗闇の中にあるキールの下を行く時というのは、落ち着いて気持ちを静める必要があり、すべての戦術の肉体的な力と精神的な強靱さを必要とする時だと知っています。

 世界を変えようとするなら、最も暗い瞬間において最高の自分を出さなければなりません。