神と仏編㉘

A「今から語ることは、絶対普遍の事柄ではありません。今のあなたの心境に応じて、魂の成長に資することができる最もふさわしい考え方です。いつかあなたが成長する過程のどこかで、あなたの理性にそぐわない日が訪れますが、そのときは躊躇なく捨ててしまってください。」

B「どのような考え方でしょうか?この苦しみに対処することができるものでしたら何でも歓迎いたします。」

A「あなたは神の大いなる目的を達成するために編成された特別な部隊の一員であるということです。しかし、一員とはいっても、まだ訓練課程の練習生です。その部隊の隊員にはあらゆる環境下において、神からお許しのあった任務を遂行しうる強靱な肉体と屈強な精神が要求されます。

 そのような特殊任務を遂行できる隊員を育成するために課される訓練は、彼らの限界を試されるので辛く厳しいものです。落伍者は常にあり、けが人はもちろん、残念ですが時には死亡する者まで出るでしょう。

 肉体に負荷をかけ鍛え上げ、苦しみに常時漬からせ精神を鍛える。その訓練が目指すところは、己一人の最強ではありません。いかなる困難な状況であろうと動じることなく冷静に判断し、その任務を遂行するために同胞を助け周囲に手を差し伸べることができるような、そのような精神の持ち主となることを最終的な目標とします。」

B「いま仰ったことは例え話ですね。」

A「はい、そうです。部隊の訓練といっても、人を殺して物を破壊するような部隊ではありません。慈愛の最大の顕現であられる神が、人類を救済すべく創造した計画を遂行するための部隊です。その部隊の武器は銃や剣ではありません。神から授かった愛を携え任務を遂行します。」

B「しかし、神がその場にいて陣頭指揮を執るわけではないでしょう?」

A「神から派遣された指揮官が指揮をとります。」

B「その部隊の隊員に求められる判断基準はどのようなものですか?」

A「それは次のようなものです。

 ①その意思決定のほとんどを次の順序に従って行うことです。つまり、任務の役に立つか、部隊の役に立つか、自分はどうすれば役に立つか、ということです。例外は、いくら任務の役に立つからといって、その選択のリスクが明らかに大きく、道徳的、法的、倫理的な破綻をもたらすことが明確である場合は、その選択を避けます。

 ②課題には正面から取り組むこと。抵抗が最も大きい道は、それを乗り越えたときにチーム全体が強大な力を得るからです。

 ③考えを共有化し、作戦を遂行する理由を説明し、チームに質問を求めること。

 ④自分の感情的、精神的な状態は自分で選ぶこと。自分がどのように感じ、何を考えるのかを決めるのは自分であって、最善の結果に結びつく姿勢を自ら選ぶこと。

 ⑤必要になる前に、助けを求めること。」

B「ご説明ありがとうございました。しかし、これまでのお話を聞いていると、特殊任務に従事する隊員個人の訓練というより、その部隊の指揮官を養成するための訓練のように受け取れるのですが、気のせいでしょうか。」

A「いえ、気のせいではありません。あなたは死後、神が構成する特殊作戦部隊の指揮官になるのです。あなたの指揮を待つ部隊員が大勢待っているのです。あなたが地上で味わった苦しみを侮ってはいけません。それらはすべて、あなたが死後に指揮官となるために必要で過酷な訓練なのです。」