神と仏編㉚ー2

 私は、アメリカ合衆国の軍事組織である通称「ネイビーシールズ」に36年間在籍しています。その基礎訓練は六ヶ月に及び、柔らかい砂の上でのランニングや深夜における冷水の中での水泳、障害物コースなど、訓練に次ぐ訓練の日々であり、眠れない毎日を送り、常に寒く、常に濡れていてみじめな気持ちでした。

 私たちの周りには、常に私たちを諦めさせようとする屈強な教官たちがいました。教官は同時に、恒常的なストレスや無秩序、失敗や苦しみといった環境の中で、リーダーシップを発揮できる訓練生を探していたのです。

 私にとっては、シールズの訓練は六ヶ月に詰め込まれた挑戦の時期でした。ここに私がシールズの訓練から学んだ教訓があります。あなた方が人生で先へ進むにあたって、きっと役に立つでしょう。

 シールズの訓練では、毎朝教官であるベトナム戦争を体験した退役軍人によって、ベッドのチェックが行われました。角は四角くなっているか、シーツはシワなく伸びているか、枕は正規の場所に置いてあるかなどを見られました。

 それは単純で平凡な仕事ですが、私たちは毎朝完璧を求められました。その当時は馬鹿馬鹿しく思えました。私たちは真の兵士、戦闘のために鍛え上げられたシールズを高く志していたからです。しかし、この単純な作業が本物であると何度も思い知らされました。ベッドを整えると、その日の最初の仕事を完了したことになり、それだけで褒められたような感じがするので、その次の仕事も頑張れるような気になるのです。そして、一日の終わりには、ひとつの仕事の達成が積み重なって、いくつもの仕事が達成されます。小さなことを正しく行えないのなら、大きなことを正しく行うことなど決してできないでしょう。

 もしも惨めな一日を過ごしたとしても、家に帰ると自分が整えたベッドが待っています。そして、そのベッドがあなたに明日をより良くする勇気を与えてくれるでしょう。だから、世界を変えたければ、ベッドメイキングから始めましょう。