償いと試練編㊲

 彼の守護霊は彼に語りかけました。

 「あなたは何に対して怒り、何に対して悲しみ、苦しんでいるのか。人間の本質である霊の輝きの前では、地上の物質的なことはすべて幻である。地上に生活する者達は、真理に幼稚であり目も耳も未発達な赤子であり、その成長のためには、地上での幻の体験を通して、その霊に与える影響を和らげながら徐々に進化向上してもらいたいとする神の配慮である。師は弟子に応じて法を説く。赤子へは赤子に応じた真理が説かれなければならぬ。」

 「幻であるからこそ、真理とはほど遠く、欺瞞と矛盾、理不尽が地上にあふれている。幻であるからこそ、神の義を認めず、神の義に従う者を迫害する。これが地上が低き階層、神から距離をおく階層といわれる所以である。」

 「ただし、地上の出来事がいかに幻といっても、神はあなたへ義務と責任を生じさせたので、それらをないがしろにすることは許されていない。また、それらをないがしろにする人たちを非難することも許されていない。なぜなら、その義務と責任の履行によって、あなたの自我は成長し、真理を悟り、神の義に近づくことができるからである。」

 「地上の低き者達からの迫害がなんだというのか。それらをあなたに体験させるところの神の崇高な目的に比べれば、あなたが感じる迫害の苦しみがどれほどのものだというのか。」

 「地上のすべては幻である。同時に、霊が肉体から離れしのち、真実の活動に備え霊が経験を積むための正当な体験である。」