償いと試練編㊱

 しばらくして、彼には家族から悪意が向けられ始めました。

 特に彼の妻から彼に向けられる悪意は、神の存在を疑わせるに十分な苦しみを彼に与え、容易にその信仰を失わせました。そして、その悪意は彼の怒りを再び呼び覚ましたのです。

 忘れてはなりません。あなたが怒りを覚えるときは、神を忘れるときです。

 あなたが怒りを忘れるときは、神を覚えるときです。

 旧約聖書においては、御父から健康や財産を害することを許されたサタンによって、地上において苦しみを負わされた者がおります。その者は、あまりの苦しさに神を疑い、友人にその疑問を質問したので、彼の友人は語ります。

  • あなたは神の御前にて自分は正しい、というのですか。自分の正しさを証明するために、神を非とするのですか。
  • 苦難の時にあなたは言います。『これはわたしにとって何の益があるのか。罪を犯したほうが、益が多いのではないか。』
  • あなたが罪を犯したとして、神になんの差し障りがあるというのでしょうか。あなたの罪が多かったとして、神に何をなしえましょうか。仮にあなたが正しかったとして、神に何を与えることができるでしょうか。
  • あなたの悪は、ただあなたのような人に関わるのみで、また、あなたの正義はただ人に関わるのみです。
  • 父が赤子からもらうもので、その存在を脅かすものがあるでしょうか。赤子が父からもらえなければ、その赤子はいとも簡単にその生命を脅かされます。
  • 神は、彼らの行いとその高ぶった振る舞いを彼らに示すことで彼らの目を開かせ、耳に聞かせます。悪を離れることを命じられるのです。彼らがそれに従えば、彼らは延命し、従わなければ滅ぼされます。神は苦しむ者をその苦しみによって救い、彼らの耳を逆境によって開かせようとするからです。
  • 心に神を信じない者は怒りを蓄え、神に縛られるときも助けを呼び求めることをしません。彼らは若くして死に、その命は恥のうちに終わります。
  • 地上の人間のうちで、誰か一人でも神のように教えられる者がいるとでもいうのでしょうか。
  • すべての人は神の偉業の一部を遠くから仰ぎ見ることしかできません。神は大いなる者にいまして、我々は神を詳しく知り得ません。
  • 地上の者が設計し建物を建築するように、あなたには自然法則を創造し、地上の種を繁栄させることができるでしょうか。それとも、地上がここまで創造された課程がすべて偶然の作用によって生み出された結果であると考えるのでしょうか。仮にそうだとすると、地上の建築物は偶然に自然に建ったことになります。
  • 神の存在とその御業を疑うのならば、今すぐこの地上のすべてを彼と同じように創造してみてはいかがでしょうか。

 ここまできてもなお、苦しみを負わされた者から愚痴が続くので、彼はついに叱られてしまいます。

  • 無知をもって神の計りごとをおおうこの者はだれか
  • 全能たる者は非難することを必要としない。そして非難する者が全能者と争おうとするのか。神と論ずる不届き者はこれに答えよ。
  • 腰に帯し、男らしくすることを知らぬのか。再度尋ねるので答えよ。
  • おまえはわたしに責任を負わそうとするのか。おまえはわたしを非とし、自分を是とするのか。